SameSite Cookie属性とは?初心者向けにわかりやすく解説!設定方法と注意点
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SameSite Cookie属性とは?なぜ必要なのか
Cookie(クッキー)とは?
まず、SameSite Cookie属性を理解する前に、Cookie(クッキー)について簡単に説明します。Cookieとは、Webサイトがユーザーのブラウザに保存する小さなテキストデータのことです。Webサイトは、このCookieを使って、ユーザーのログイン状態を維持したり、好みを記憶したりすることができます。 例えば、ECサイトで商品をカートに入れた後、別のページに移動してもカートの中身が保持されているのは、Cookieのおかげです。SameSite Cookie属性の役割
SameSite Cookie属性は、このCookieのセキュリティを強化するための仕組みです。具体的には、クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)攻撃というセキュリティリスクを軽減する役割があります。 クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)攻撃とは、悪意のあるWebサイトが、ユーザーがログインしている別のWebサイトに対して、ユーザーの意図しないリクエストを送信する攻撃のことです。 例えば、ユーザーが銀行のWebサイトにログインしている状態で、悪意のあるWebサイトを開いてしまうと、そのWebサイトから銀行のWebサイトに対して、不正な送金リクエストが送信される可能性があります。 SameSite Cookie属性を設定することで、このようなCSRF攻撃のリスクを大幅に軽減することができます。なぜSameSite Cookie属性が必要なのか?
従来のCookieは、異なるWebサイトからのリクエストにも自動的に付与されていました。これは便利な反面、CSRF攻撃のリスクを高める原因となっていました。 SameSite Cookie属性は、CookieがどのWebサイトからのリクエストに付与されるかを制御することで、CSRF攻撃を防ぎます。つまり、Cookieの安全性を高めるために、SameSite Cookie属性は非常に重要な役割を担っているのです。SameSite Cookie属性の3つの設定値:Strict、Lax、None
SameSite Cookie属性には、Strict
、Lax
、None
という3つの設定値があります。それぞれの設定値によって、Cookieの挙動が異なります。
Strict
:最も厳格な設定
Strict
は、最も厳格な設定です。この設定の場合、Cookieは、同じWebサイトからのリクエストにのみ付与されます。つまり、別のWebサイトからのリクエストには、一切Cookieが付与されません。
例えば、example.com
というWebサイトでStrict
属性が設定されたCookieは、example.com
からのリクエストにのみ付与され、evil.com
のような別のWebサイトからのリクエストには付与されません。
Strict
は、セキュリティを最優先する場合に最適な設定ですが、利便性が低下する可能性があります。例えば、別のWebサイトからのリンクをクリックしてexample.com
にアクセスした場合、ログイン状態が維持されないことがあります。
Lax
:利便性とセキュリティのバランス
Lax
は、Strict
よりも緩やかな設定です。この設定の場合、Cookieは、同じWebサイトからのリクエストと、トップレベルナビゲーション(GETリクエスト)に付与されます。
トップレベルナビゲーションとは、ブラウザのアドレスバーにURLを入力したり、ブックマークからWebサイトにアクセスしたりするような、ユーザーが直接Webサイトにアクセスする操作のことです。
例えば、example.com
というWebサイトでLax
属性が設定されたCookieは、example.com
からのリクエストと、ユーザーがブラウザのアドレスバーにexample.com
と入力してアクセスした場合に付与されます。しかし、evil.com
のような別のWebサイトからのフォーム送信(POSTリクエスト)には付与されません。
Lax
は、利便性とセキュリティのバランスが取れた設定であり、多くのWebサイトで推奨されています。
None
:最も緩やかな設定
None
は、最も緩やかな設定です。この設定の場合、Cookieは、すべてのリクエストに付与されます。つまり、別のWebサイトからのリクエストにもCookieが付与されます。
None
を使用する場合は、必ずSecure
属性も設定する必要があります。Secure
属性は、CookieがHTTPS接続でのみ送信されるようにするための属性です。
None
とSecure
を組み合わせることで、クロスサイトでのCookieの利用が可能になりますが、CSRF攻撃のリスクが高まるため、注意が必要です。
None
は、クロスサイトでのCookieの利用がどうしても必要な場合にのみ使用し、それ以外の場合はStrict
またはLax
を使用することを推奨します。
SameSite Cookie属性を設定する際の注意点と具体的なコード例
SameSite Cookie属性を設定する際には、いくつかの注意点があります。- ブラウザの互換性: 古いブラウザではSameSite Cookie属性に対応していない場合があります。そのため、古いブラウザをサポートする必要がある場合は、ポリフィル(polyfill)と呼ばれる技術を使用する必要があります。
- 設定値の選択:
Strict
、Lax
、None
のいずれの設定値を選択するかは、Webサイトの要件によって異なります。セキュリティを最優先する場合はStrict
、利便性を重視する場合はLax
、クロスサイトでのCookieの利用が必要な場合はNone
を選択します。 None
とSecure
の組み合わせ:None
を使用する場合は、必ずSecure
属性も設定する必要があります。Secure
属性を設定しないと、Cookieが安全でないHTTP接続で送信される可能性があり、セキュリティリスクが高まります。
const express = require('express');
const app = express();
app.get('/set-cookie', (req, res) => {
// SameSite属性を設定したCookieを送信
res.cookie('myCookie', 'cookieValue', {
sameSite: 'Lax', // または 'Strict'、'None'
secure: true, // HTTPSでのみ送信する場合
httpOnly: true, // JavaScriptからのアクセスを禁止する場合
});
res.send('Cookieが設定されました');
});
app.listen(3000, () => {
console.log('サーバーがポート3000で起動しました');
});
このコード例では、Node.jsとExpressを使用して、SameSite属性を設定したCookieを送信する方法を示しています。res.cookie()
関数のオプションで、sameSite
属性とsecure
属性を設定しています。
-
sameSite
: CookieのSameSite属性を設定します。Lax
、Strict
、None
のいずれかの値を指定します。 -
secure
: CookieをHTTPS接続でのみ送信するかどうかを設定します。true
またはfalse
を指定します。 -
httpOnly
: JavaScriptからのCookieへのアクセスを禁止するかどうかを設定します。true
またはfalse
を指定します。true
に設定すると、XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃のリスクを軽減できます。
まとめ
この記事では、SameSite Cookie属性について、以下のことを学びました。- SameSite Cookie属性は、CSRF攻撃のリスクを軽減するための重要なセキュリティ対策である。
- SameSite Cookie属性には、
Strict
、Lax
、None
という3つの設定値があり、それぞれCookieの挙動が異なる。 None
を使用する場合は、必ずSecure
属性も設定する必要がある。- SameSite Cookie属性を設定する際には、ブラウザの互換性や設定値の選択に注意する必要がある。